歴史の荒波を乗り越えた場所には、独特の空気が漂う。治承4年(1180年)、石橋山の戦いに敗れた源頼朝は、命からがら真鶴から海を渡り、安房の地に逃れた。その際、彼が再起をかけて祈願を捧げたのがこの社だ。歴史書『吾妻鏡』にもその名が刻まれている。
この「敗者復活」のストーリーが、不確実性の増す現代のビジネスシーンで戦う人々の心を捉えて離さない。スタートアップの起業家や、キャリアの転換期を迎えた人々が、静かに境内を訪れる。彼らはただ手を合わせるのではない。かつて一人の武将が絶望の淵から天下人へと駆け上がった、その「意志の軌跡」を自らの内に取り込もうとしているのだ。言葉にできない決意が、潮風の中で研ぎ澄まされていく。