多くのファンが「子供の頃に見て本気で怖かった」と口を揃えるのが、謎の支配者「カレ」の存在です。彼の正体は一体何なのか、そしてなぜこれほどまでに視聴者の記憶へ生々しい恐怖を刻みつけたのでしょうか。
公式設定および作中の描写から結論付けると、カレの正体は「地獄の底から這い出た絶対悪としての悪魔そのもの」です。作中でナレーターは「あまりにも邪悪で恐ろしい存在であるため、その本名を口に出すことすら許されず、ただ『カレ』としか呼べない」と語っています。ドラキュラやモンスターといった記号化された怪異ではなく、古代から人類の深層心理に潜む「原初の闇」や「ルシファー」のメタファーとして造形されているのです。
カレが他のヴィランと決定的に異なるのは、物理的な破壊ではなく「精神の破壊」を仕掛けてくる点です。その象徴が、ファンの間で最恐のトラウマ回として名高いシーズン2第7話「スピードデーモン(Speed Demon)」です。
ガールズが学校からの帰り道、レースに夢中になるあまり光速を超えてタイムワープしてしまい、辿り着いたのは50年後の未来でした。そこはガールズが突如失踪したことで守る者を失い、カレによって完全に支配された変わり果てたタウンズヴィルでした。市民は生気を吸い取られてゾンビのように徘徊し、ユートニウム博士は老衰して正気を失い、街全体が血のような赤と黒のサイケデリックな地獄絵図と化していました。
カレは巨大化してガールズを嘲笑い、こう囁きかけます。「お前たちが街を捨てたから、全員が苦しみ、すべてが滅びたのだ」と。物理攻撃が一切通用しない絶望的な空間で、3人の幼稚園児に「お前たちの身勝手な過失が世界を破滅させた」という残酷な罪悪感を植え付け、心を粉々に打ち砕こうとしたのです。中尾隆聖氏の鳥肌が立つような怪演も相まって、このエピソードは単なる子供向けアニメの枠を完全に踏み越えたサスペンスホラーとして刻まれました。