主人公アンディ・デュフレーンという個人のキャラクターについて、公式に「特定のモデルはいない」とされています。しかし、映画ファンや犯罪史研究者の間で「アンディの生き写しではないか」と大きな話題を呼んだ実在の人物が存在します。それが、全米を震撼させた脱獄囚フランク・フレッシュウォーター(Frank Freshwaters)です。
フレッシュウォーターは1957年、オハイオ州で歩行者をはねる自動車死亡事故を起こし、過失致死罪で保護観察処分を受けました。しかしその後、違反を犯したとして収監された先が、皮肉にも映画『ショーシャンクの空に』のメインロケ地となった「オハイオ州立改革所(Ohio State Reformatory)」だったのです。彼は模範囚として刑務所側の信頼を勝ち取り、外部の農場作業に従事する特権を得た直後の1959年に忽然と姿を消しました。
驚くべきはその逃亡期間です。彼は偽名を使い分け、各地でトラック運転手などとして真面目に働きながら、実に56年間ものあいだ警察の追跡を逃れ続けました。2015年5月、フロリダ州で79歳となって拘束された際、当時の保安官代理が「彼はまるでショーシャンクのアンディのように、静かに身を潜めていた」とコメントしたことで、世界中のメディアが「リアル・ショーシャンクの脱獄囚」として大々的に報道しました。
映画の公開(1994年)よりもフレッシュウォーターの逮捕(2015年)の方が後であるため、彼がアンディの執筆モデルになったわけではありません。しかし、ロケ地となった監獄から模範囚が抜け出し、半世紀以上も善良な市民になりすまして自由を享受していたという事実は、映画が描いた「忍耐と計画性による脱出」の信憑性を現実世界で証明する結果となったのです。