視聴者の倫理観の変化とネット社会の監視の目は、既存のテレビ局のあり方を根底から揺さぶっている。スポンサーの顔色を過剰にうかがうフジテレビジョンをはじめとする地上波各局は、不倫をはじめとするタブー描写をドラマやバラエティから徹底的に排除するようになった。その結果として生じたのは、過度な無菌化と表現の硬直化である。
この地上波の隙間を縫うようにして台頭したのが、NetflixやABEMAといった配信プラットフォームだ。Netflixはグローバル基準の複雑な人間ドラマを予算と表現の制約なしに描き、ABEMAはスキャンダルの当事者をスタジオに招いて生討論を繰り広げるなど、地上波が手放した生々しい人間模様を積極的にコンテンツ化している。メディアの主権がテレビからインターネットへと移行する中で、タブーを巡る表現の力学も劇的に変化している。