「栄養状態が良いと爪が伸びるのが早い」と言われますが、生化学的な観点から爪とタンパク質の関係を紐解くと、極めて納得のいく根拠があります。爪の主成分は、骨のようなカルシウムではなく、ケラチンと呼ばれる硬質タンパク質です。肉、魚、大豆製品、卵などから十分な良質タンパク質を摂取していると、爪母に豊富なアミノ酸が供給され、強靭で健康的な爪が速やかに形成されます。
ここで重要な役割を果たすのが微量ミネラルである「亜鉛」です。爪が伸びるのが早い栄養不足と亜鉛の関連性については、ネット上でも誤解が散見されます。亜鉛はタンパク質の再合成と細胞分裂を司る必須ミネラルであるため、亜鉛が十分に足りている状態こそが正常な細胞増殖を支えています。
逆に、亜鉛が欠乏すると細胞分裂が滞り、爪の伸びが鈍化するだけでなく、爪の表面に白い斑点(点状爪甲白斑)が出現したり、爪が薄く割れやすくなったりします。つまり、「爪が早くぐんぐん伸びる」というのは、基本的にはタンパク質やビタミン、ミネラルが体内に満ち足りており、抹消組織にまで十分に行き届いている証拠と捉えることができます。
さらに、日常的な動作による爪の血流促進と新陳代謝も見逃せません。長時間のパソコンタイピング、ピアノの演奏、手芸など、指先の腹や爪周囲に日常的・適度な物理的衝撃が加わると、反射的に毛細血管の血流が促されます。この刺激がトリガーとなり、爪母への栄養供給が増大して爪の伸長が促されるのです。実際、利き手やよく使う指(人差し指や中指)の爪のほうが、使わない指よりも早く伸びることが実証されています。