観念的競合とは?牽連犯・併合罪との違いや量刑ルールを判例から徹底解説

観念的競合とは?牽連犯・併合罪との違いや量刑ルールを判例から徹底解説

観念的競合とは?牽連犯・併合罪との違いや量刑ルールを判例から徹底解説について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をご確認ください。

刑事裁判において、被告人が犯した罪の個数を確定させる理論を「罪数論」と呼びます。その中で、観念的競合とは「1個の行為が同時に2個以上の罪名に触れる場合」を指す法律概念です。根拠となるのは刑法第54条1項前段であり、条文には次のように明記されています。

「1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。」

この条文の前半部分がまさに観念的競合の規定です。法学の世界では、実質的には複数の犯罪が成立しているものの、科刑(処罰)の段階では1つの罪として扱うことから、牽連犯とともに「科刑上一罪(かけいじょういっざい)」に分類されます。

観念的競合をわかりやすくイメージするために、日常的な例を挙げてみましょう。例えば、通行人を狙って手榴弾を投げつけたケースを考えます。投げた手榴弾が爆発し、通行人を死亡させると同時に、すぐ隣に駐車されていた他人の高級車を粉々に吹き飛ばしたとします。このとき、加害者が行った物理的な動作は「手榴弾を1個投げた」という1個の行為にすぎません。しかし、法的評価としては「殺人罪(刑法199条)」と「器物損壊罪(刑法261条)」という2つの別個の罪が同時に完成しています。

行為そのものは1回しか行われていないにもかかわらず、侵害された被害者の法益(生命と財産)が複数に及ぶため、観念的(観念上・法的評価上)に罪が競合していると捉えるわけです。この場合、2つの罪を単純に合算して罰するのではなく、法は1回のアクションに対して「最も重い刑」を上限として適用する合理的なブレーキをかけています。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。