近年、日本の旅行市場において「レトロ」や「ローカル体験」が巨大なトレンドとなる中、観光業と伝統的な公衆浴場業の融合が新たな経済効果を生み出している。大手旅行予約サイトの楽天トラベルでは、豪華ホテルへの宿泊とあわせて、周辺の市営温泉をめぐる「湯巡りチケット付きプラン」や「ローカル銭湯散策ガイド付き宿泊プラン」の検索数が急増中だ。
さらに、映像コンテンツの分野でもその波は広がっている。Netflixなどのグローバル配信プラットフォームでは、日本のディープな温泉文化や銭湯の日常を追ったドキュメンタリー番組が世界中で視聴され、海外のトラベラーが「本物のローカル体験」を求めて日本の地方都市へ足をのばすきっかけとなっている。
かつて経営難や利用者の高齢化により縮小傾向にあった公衆浴場業だが、観光インフラとしての再評価によって息を吹き返しつつある。地域住民の生活の場でありながら、グローバルな観光客を引き寄せる強力なコンテンツとして、市営浴場は今まさに新たな価値を獲得したと言える。