ネット上の一部コミュニティでは、「翌朝まで香りが残るということは、肌に悪い界面活性剤や化学成分が洗い流されずにこびりついている証拠ではないか」という懸念が囁かれています。しかし、化粧品処方の視点から見れば、これは明らかな誤解です。
現代の処方設計において、洗浄成分であるアニオン界面活性剤そのものは、水との親和性が極めて高く、シャワーの流水で速やかに解離・洗い流されるよう設計されています。肌の表面に残っているのは、カチオン化された高分子コンディショニング成分や、植物由来の油脂エモリエント膜です。これらは肌の水分蒸散を防ぐバリア機能を補助する役割を担っており、その油性ヴェールの中に微量の香気成分がトラップされているに過ぎません。
ただし、盲点となるリスクも存在します。それは合成香料や天然精油に対する遅延型アレルギー反応です。香りが長時間持続するということは、それだけアレルゲンとなり得る香気分子(リモネン、リナロール、シトロネロール等)が肌と長時間接触し続けることを意味します。アトピー素因がある方や季節の変わり目に肌がゆらぎやすい方は、パッチテストを行うか、低刺激設計を謳う製品を選択する慎重さが求められます。