マルファン症候群は結合組織が脆弱になる疾患であるため、骨格系、眼、心血管系など全身に多様な兆候が現れます。臨床現場で用いられる代表的なチェック項目には以下の特徴があります。
骨格系の代表的なサインとして有名なのが「親指徴候(Steinberg sign)」と「手首徴候(Walker-Murdoch sign)」です。親指を手のひらに折り込んで拳を握った際に親指の先端が小指側から大きく突き出る現象や、反対側の手で手首を握った際に親指と小指が余裕をもって重なり合う現象は、四肢の過伸展性や細長い指骨(クモ状指)の客観的指標とされます。
加えて、胸骨の変形(漏斗胸や鳩胸)、強度の近視や水晶体のズレ(水晶体亜脱臼)、足の扁平足や脊椎側弯なども重要な診断要素です。しかしながら、身長が高いことや指が長いこと自体は健康な個人差でも頻繁に見られるため、単一の身体的特徴だけで過度に不安を抱く必要はありません。正確な診断には、循環器内科や臨床遺伝専門医による「ゲント診断基準(Ghent nosology)」に基づいた精緻な検査が必要です。