どれほどアンダーカロリーを徹底しても、生理前およそ1週間から10日間の時期は体重が落ちにくくなります。この生理前に痩せない理由の根底にあるのは、意志の弱さではなく、女性の身体に刻まれた生殖のための内分泌システムです。
排卵期を過ぎると、女性の体内では卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、代わりに黄体ホルモンである「プロゲステロン」の分泌が急増します。この黄体期プロゲステロンの影響こそが、減量を阻む最大の要因です。プロゲステロンには受精卵の着床を助け、妊娠を維持するために水分や栄養素を体内に蓄え込もうとする強い働きがあります。細胞内にナトリウムと水分を抱え込む作用があるため、普段と同じ生活を送っていても、体は自然とスポンジのように水分を吸い上げた状態になるのです。
排卵直前までのエストロゲン分泌と水分ため込みの抑制バランスから一転し、黄体期に入ると血管透過性が変化して間質液が増加します。つまり、この時期に体重計の数値が減らないのは「体脂肪が減っていない」のではなく、「体内に水分が滞留している」状態に過ぎません。体脂肪自体はアンダーカロリーであれば確実に燃焼しているにもかかわらず、増えた水分の重さがそれを覆い隠してしまうため、見かけ上の体重が減少しないという構造的な錯覚が生じます。