店頭POPの文化を語る上で避けて通れないのが、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の存在です。同社には各店舗に専属の「POPライター(POP職人)」が配置されており、独特の極太丸ゴシック「ドンキ文字」を用いたPOPが店舗全体を埋め尽くしています。ドンキホーテPOP職人の真相を探ると、彼らは単に文字を綺麗に書く作業員ではなく、店舗の売上目標を背負う前線のマーケターであることが分かります。
関係者への取材によると、ドン・キホーテのPOP職人は日々の売上データや天候、客層の変化をリアルタイムで観察し、動いていない在庫商品に対して数時間単位でコピーを書き換えています。「文字の傾き」「袋文字のフチ取りの幅」「蛍光ペンのハイライト位置」に至るまで社内基準が徹底され、圧縮陳列による情報密度の高さを逆手に取った「探す楽しさ」を演出しています。
この職人芸は現在、一般の食品スーパーにも波及しています。かつてはパートタイマーの余剰時間で行われていたPOP作成ですが、現在はPOP広告クリエイター資格と評判が流通小売業界で見直され、手当支給や社内マイスター制度を導入するスーパーチェーンが増加しています。「手書きは非効率」と切り捨てるのではなく、専門技能を持ったスタッフが書く一枚のPOPが、月間数十万円単位の粗利改善を生み出す武器として再認識されています。