どうしてもチケットを手にしたいファンが陥りがちなのが、友人同士で相互に代表者と同行者を入れ替えて応募する「重複エントリー」や、別々のプレイガイドから同一公演に申し込む行為だ。しかし、この手法には看過できない重大なリスクが潜んでいる。
まず警戒すべきは、プレイガイド先行複数応募の注意点における「同一名義・同一電話番号の自動弾き」だ。現在の大手プレイガイドは、登録電話番号(SMS認証)と氏名、生年月日をキーにした名寄せシステムを高度化させている。同一人物が代表者として重複当選することはシステム上排除されるだけでなく、同一公演で「代表者A・同行者B」と「代表者B・同行者A」の組み合わせでエントリーした場合、重複応募とみなされて両方のエントリーが無効(落選処理)とされるレギュレーションを採用する公演が急増している。
さらに深刻なのが、プレイガイド先行本人確認の現状だ。チケット不正転売禁止法の施行と定着を経て、高額転売が疑われる人気公演では、入場時にスマートフォンアプリ上の顔写真登録や、マイナンバーカード・運転免許証との目視照合が厳格に実施されている。会場係員による確認で登録情報との不一致が発覚した場合、いかなる事情があろうとも入場を拒否され、チケット代の払い戻しも行われない。
取材に応じた20代の女性会社員は、苦い経験をこう述懐する。「友人と手分けして別のプレイガイド先行でそれぞれ2枚ずつ申し込んだところ、奇跡的に両方当選してしまいました。どちらもカード自動引き落としだったため、一瞬で8万円近くが口座から消えました。公式リセールに出品したものの、平日の地方公演だったため買い手がつかず、結局2席分を空席にして大損しました。当たらない前提での乱れ打ちは本当に危険だと痛感しました」。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
チケット先行抽選の過熱は、心理学的に言えば「FOMO(取り残されることへの恐怖)」が引き起こす消費行動の典型例である。「今申し込まなければ二度と見られないかもしれない」という焦燥感が、不要な名義でのエントリーや、過剰な手数料負担を正当化させてしまう。冷静な視点を保つために、プレイガイド先行を活用すべき層と、控えるべき層の境界線を提示する。
【プレイガイド先行をおすすめできる人】
- 年会費を払ってファンクラブに入るほどではないが、特定のツアーや公演を一度生で体感してみたいライト層・お試し層。
- すでにファンクラブ先行で本命日程を確保しており、追加で遠征日程や別日程の参加可能性を広げたいコアファン。
- 座席の位置(アリーナかスタンドか)に強いこだわりがなく、会場全体の空気感やパフォーマンスの鑑賞そのものを純粋に楽しみたい人。
【プレイガイド先行の利用に慎重になるべき人】
- 「アリーナ最前列でなければ行く価値がない」「推しの視線が届く近さでなければ満足できない」と考える座席至上主義の人(ファンクラブ先行の再チャレンジやプレミアム席狙いに絞るべき)。
- 複数の日程や席種に無計画にエントリーし、重複当選した場合に決済資金を工面できない人。
- 1枚あたり1,000円前後に達する先行手数料やシステム利用料に対して、強い不満や割高感を覚えるコストパフォーマンス重視の人(一般発売の先着順や、定価で取引される公式リセール枠の活用が賢明)。