「せめて100年続くブランドにしたい」。創業当時、皆川明が周囲に語ったこの言葉を、当時の業界関係者の多くは青臭い夢想と受け止めた。シーズンごとにデザインを刷新し、半年後にはセールで叩き売るのがアパレルの絶対不快な掟だったからだ。
だが、その掟を最初から無視した。半年で価値がゼロになる服など作らない。むしろ、着る人のシワが刻まれ、陽に焼け、繕われることで完成に近づく服を目指した。トレンドのリサーチは一切行わない。デザイナーの個人的な記憶、森のざわめき、鳥の羽ばたき、あるいは日常のふとした光の揺らぎといった私的なスケッチからすべてが始まる。この「流行の完全な遮断」こそが、結果としてどの時代にも属さない普遍性を生み出した。