この未曾有の事態において、業界関係者が一様に舌を巻いたのが所属事務所トライストーン・エンタテイメントの対応でした。当時の会長・山本又一朗氏、そして後に社長へ就任した小栗旬氏ら幹部は、所属俳優に対する理不尽な恫喝に対して「一切の妥協を排して毅然と法的手続きを進める」という方針を貫徹しました。芸能プロダクションが週刊誌やネットの噂に対してあいまいな姿勢を取りがちだった旧来の慣習を打破し、顧問弁護団を通じて警視庁への告訴状提出と証拠保全を徹底して行ったことが、東谷氏の逮捕と有罪判決への決定打となったのです。
ネット上でしばしば囁かれるガーシーと綾野剛の和解の有無については、明確な事実の整理が必要です。公判過程において東谷側弁護団から謝罪の意が示され、一定の損害賠償金の支払い(供託手続き)などが行われた事実は存在します。しかし、それはあくまで刑事裁判における情状酌量を求める法的手続きの一環に過ぎず、両者の間に感情的な和解や過去の清算といった私的な手打ちは存在しません。綾野氏側は最後まで被害者としての立場を厳格に維持し、法秩序の中でのみ決着をつける姿勢を崩しませんでした。