一般的な悪役や詐欺師であれば、ターゲットから金銭を騙し取ったり、社会的な地位を奪ったりすることが目的となる。しかし、喪黒福造は一切の対価を求めない。名刺を差し出し、「私の名は喪黒福造。人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンではございません」と名乗る彼は、むしろ無償で他人の望みを叶えてみせる。この「無償の奉仕」こそが、彼の異常性を際立たせている最大の要因だ。
彼が提供するサービスは、一見すると夢のような救済措置だ。しかし、そこには必ず「絶対に破ってはならないルール」という罠が仕掛けられている。ルールを破れば、奈落の底へ突き落とされる。この一連のプロセスを見る限り、彼の目的は「取引の成立」そのものではなく、人間が自らの欲望に負けて自滅していくプロセスを観察することにあると言わざるを得ない。