ピッチ上で何が勝敗を分けたのか。その核心は、後半開始と同時に森保一監督が下したシステム変更の決断にあります。前半、相手のハイプレスに苦しみ自陣でのボールロストが散見された日本は、後半スタートから「4-2-3-1」から「3-4-2-1」へと可変。両ウイングバックを高い位置に押し出し、ビルドアップの出口を増やす戦術的アジャストを敢行しました。
試合後の公式記者会見で、指揮官は次のように語っています。
「相手の前線からのプレッシャーに対し、前半はボールの失い方が悪く後手に回ってしまった。後半は後ろの枚数を3枚にし、サイドの幅を広く使うことで相手の守備スライドを遅らせる狙いがあった。選手たちがピッチ内で状況を素早く認知し、高いインテンシティを維持してくれたことが逆転につながった」(森保一監督・試合後会見より)
この言葉通り、後半のボール支配率は前半の44%から58%へと跳ね上がり、敵陣アタッキングサードへの侵入回数も2.3倍に増加しました。特に相手ボランチの脇に久保建英と南野拓実がシャドーとして位置取ったことで、相手守備陣はマークの受け渡しに混乱。中盤で浮いたスペースを自在に使えたことが、逆転への決定打となったのです。
かつては「交代策が遅い」「プランBの構築に課題がある」と批判されることも少なくなかった森保采配ですが、近年のチームビルディングにおいては戦術の柔軟性が飛躍的に向上しています。試合展開に応じた的確なカードの切り方に対し、専門誌や解説陣からも「ベンチワークの勝利」「成熟したゲームマネジメント」と極めて高い評価が寄せられています。