ブームの背景にあるのは、単なるノスタルジーではない。タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代のライフスタイルと、短時間で最大出力を発揮する「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」の考え方が融合した結果だ。長時間のジョギングを続ける根気や時間はなくても、わずか数秒で全力を出し切るスプリントなら、忙しい日常の合間に組み込みやすい。
「10秒以内で完結する究極の全身運動」として、短距離走の価値が見直されている。都内のIT企業に勤務する男性(34)は、「ジムのマシンで1時間走るよりも、週に数本全力で走る方が圧倒的に脳がクリアになり、爽快感がある」と語る。かつては子供の運動能力を測る指標だったスプリントが、今や大人のメンタルヘルスと肉体改造の特効薬となっているのだ。