音響を映像と同等、あるいはそれ以上の叙述手段として扱うアプローチは、映画界の巨匠クリストファー・ノーランの作品群を彷彿とさせる。時間の歪みや重力を音の密度の変化で表現してきたノーランのロジックは、本作のサウンドエンジニアたちにとっても大きなインスピレーション源となった。映像のフレームの外側にある圧倒的な世界観を、音だけで構築する技術が見事に継承されている。
さらに、劇伴音楽の領域においては、ハンス・ジマーが確立した重厚な重低音と環境音の境界を曖昧にするスコアリング手法が色濃く反映されている。メロディラインを排し、金属の摩擦音や心臓の鼓動に似た重低音を重ね合わせることで、音楽と効果音が融合した唯一無二の聴覚体験が完成した。先人たちが切り開いた映画音響の技術体系が、配信ドラマという新たなキャンバスの上で見事に開花した瞬間と言えるだろう。