ひのとりの車内に入って最も衝撃を受けるのが、シートの完成度だ。特急ひのとりの編成は、両先頭車の特急ひのとりプレミアム車両(1号車・6号車または8号車)と、中間に位置するレギュラー車両で構成されている。その根幹を支える共通の革新機能が、全席に配備されたバックシェル構造である。
通常の特急車両や新幹線では、座席を倒す際に「後ろの席の方に声をかけるべきか」「倒しすぎて邪魔になっていないか」という無言のプレッシャーが発生する。しかし、ひのとりのシートは背もたれがシェル(外殻)の内側でスライドして沈み込む構造を採用しているため、どれだけリクライニングを深々と倒しても後席の空間を1ミリも圧迫しない。このバックシェルシート座り心地の良さは、単に肉体的な疲労を和らげるだけでなく、精神的な気兼ねから解放されるという点で革命的といえる。
両クラスの具体的な差別化ポイントを整理した、レギュラー車両違いまとめは次の通りだ。
- プレミアム車両の特性:床面を通常より高くしたハイデッカー構造を採用。視界が広く、窓ガラスも大型化されている。座席は本革仕立ての「2列+1列」配置で、シートピッチは国内屈指の1,300mm。電動リクライニング、電動レッグレスト、読書灯、ヒーター機能まで完備されており、JR東日本のグランクラスに匹敵する重厚感とプライベート感を味わえる。
- レギュラー車両の特性:「2列+2列」の座席配置ながら、シートピッチは1,160mmと、一般的な新幹線普通車(1,040mm)を大幅に凌駕する。上質なファブリックモケット、手動レクライニング、フットレストを備え、こちらも全席バックシェル仕様。追加料金わずか200円でこの空間が手に入るため、コストパフォーマンスの観点ではプレミアム以上に驚異的と評価されている。
実際に着座してみると、プレミアム席は本革の沈み込みと適度な硬さが両立しており、腰への負担が驚くほど少ない。一方のレギュラー席も前席との間隔に余裕があり、ノートPCを開いた状態で足を完全に伸ばせるスペースが残されている。長時間の乗車でも姿勢崩れが起きにくく、到着時の疲労度には明確な差が出る。