インターネット上や愛鳥ブログでは「毎日少しずつ色々なものをあげて生活を豊かにしよう」というアドバイスが散見されます。しかし、現代の屋内飼育環境において、この「毎日のおやつ習慣」がセキセイインコの生殖器疾患を爆発的に増やしている事実はあまり知られていません。
鳥類は、環境中の「日照時間」「気温」、そして「食糧の豊富さ(栄養価の急上昇)」を手がかりにして発情期を認識します。室内飼育では照明によって日照時間が長引きがちである上、毎日高脂質・高カロリーなおやつ(粟の穂、エン麦、麻の実、ヒマワリの種など)が供給されると、インコの脳下垂体は「今は子育てに最適な絶好の繁殖期である」と強力に錯覚してしまいます。
オスの場合は過度なさえずりや吐き戻し(求愛給餌)、それに伴う体重減少や精巣腫瘍のリスクが跳ね上がります。メスの場合はさらに深刻で、頻回な無精卵の産卵による体内カルシウム枯渇、卵管炎、そして死因として極めて多い卵塞(卵詰まり)を引き起こします。産卵は鳥の身体に凄まじい肉体的負荷を強いる行為です。発情の兆候(お尻を振る、巣箱や狭い隙間を探す、攻撃的になる等)が見られた場合、最初に行うべき治療的介入は「おやつの完全停止」と主食のシード・ペレットの適正制限です。おやつを毎日与え続けることは、愛鳥のホルモンバランスを人工的に狂わせるリスクを孕んでいるのです。