居酒屋のカウンターで注文する際、誰もが一度は感じる「チューハイとサワーの違い」について、結論から明かせば日本の法律(酒税法)における明確な区別は一切存在しません。税務上、缶製品や飲食店で提供されるこれらのアルコール飲料は、原材料やエキスの含有比率によって「リキュール(発泡性)」または「スピリッツ(発泡性)」に分類されているに過ぎず、商品名に「サワー」と付けるか「チューハイ」と名乗るかは、メーカー各社や飲食店の自由な裁量に委ねられています。
では、なぜ居酒屋ではメニューが分かれているのでしょうか。大手飲料メーカーの酒類開発担当者は次のように舞台裏を語ります。「日常会話や外食シーンにおいては、法律ではなく『ベースとなる蒸留酒の種類』と『柑橘類の有無』という暗黙の住み分けが長年受け継がれてきました」。
実態として、大衆酒場を中心とする多くの飲食店では、下町伝統の甲類焼酎と炭酸水の組み合わせをベースにしたものを「チューハイ(焼酎ハイボール)」と呼び、ウォッカなどのクセのないスピリッツにレモンやグレープフルーツなどの果汁を絞り入れたものを「サワー」と命名して区別しています。つまり、お酒そのものの素朴な風味や焼酎独特のキレを味わうのがチューハイ、酸味やフルーティーな爽快感を前面に押し出すのがサワーという、現場独自の役割分担が定着しているのです。