1978年に発表されたレイモンド・ブリッグズの同名絵本は、文字を一切使わないサイレント絵本として児童文学界に金字塔を打ち立てた。絵本とアニメーション映画、この2つの表現媒体の間には決定的なアプローチの違いが存在する。
原作者のブリッグズが描いた世界は、儚さとどこか物寂しい静謐さに満ちていた。少年と雪だるまの心温まる交流を描きつつも、朝が来れば雪だるまは溶けて消えてしまうという厳然たる自然の摂理を直視させている。対して、名作として名高い『スノーマン (1982年の映画)』では、少年とスノーマンが北極へと飛び立ち、サンタクロースや大勢の雪だるまたちとダンスを繰り広げるパーティシーンが大胆に追加された。この幻想的なシークエンスの挿入によって、原作の静かな詩情にエンターテインメントとしての華やかさが加わり、世界的なヒットへと繋がったのだ。