SNSや大手マタニティコミュニティ(知恵袋、ママリ等)では、「知らずにフィラデルフィアのクリームチーズをベーグルに塗って食べてしまった」「赤ちゃんに何かあったらどうしよう」と涙ながらに相談を投稿する女性の書き込みが連日投稿されています。妊娠初期の不安定な精神状態も手伝い、過剰な自責の念に駆られてしまうケースが後を絶ちません。
まずお伝えしたいのは、「森永乳業のフィラデルフィアクリームチーズを食べただけであれば、胎児へのリステリア感染を過度に心配する必要は全くない」という事実です。実際に医療機関の現場でも、国内大手メーカーの市販クリームチーズを摂取したことによるリステリア症の発生報告は確認されていません。
万が一、産地不明の輸入ナチュラルチーズを未加熱で食べてしまった場合でも、冷静な経過観察が第一です。リステリア食中毒には以下の特徴があります。
- 潜伏期間:一般的な細菌性食中毒と異なり、潜伏期間が極めて長いのが特徴です。食後数時間で発症することは稀で、通常は1〜3週間、場合によっては最大90日(約3ヶ月)に及ぶ潜伏期を経て発症します。
- 初期症状:38℃以上の急な発熱、悪寒、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛など、インフルエンザに酷似した症状が現れます。下痢や嘔吐などの消化器症状は伴わないことも珍しくありません。
- 対処行動:食後に何の体調変化もなければ、検査や予防的投薬を行う医学的意義はありません。万が一、2〜4週間以内に原因不明の高熱や激しい倦怠感を覚えた場合は、直ちに妊婦健診先やかかりつけの産婦人科を受診し、「〇月〇日に未殺菌の可能性のある輸入チーズを食べた」旨を医師に明確に申告してください。リステリア症は早期発見によりアンピシリン等の抗菌薬投与による治療が可能です。