「展望台の中心に立つと不気味な声が聞こえる」「深夜に女性の霊が目撃された」「過去に凄惨な事件があった」――ネット掲示板やオカルト検証サイトでは、日の丸展望台に関してまことしやかな噂が長年語り継がれてきました。しかし、現地取材と警察・行政の公的記録を照らし合わせると、噂の背後にある合理的なメカニズムが浮かび上がってきます。
まず、心霊現象として最も多く語られる「声が反響する」「背後から視線を感じる」という体験は、日の丸展望台の円形すり鉢状コンクリート構造が大きく関係しています。中央の窪みに立つと、周囲の音がすり鉢の内壁に反射して中央に集音される「ウィスパリング・ギャラリー(囁きの回廊)効果」が発生します。自分自身の足音や遠くの森のざわめきが異常な反響を伴って耳元に届くため、人間の脳がそれを「誰かの囁き声」と誤認しやすい音響構造になっているのです。
また、「凄惨な事件」という噂についても、昭和から平成初期にかけて箕面ドライブウェイや五月山周辺で発生した散発的な交通事故、あるいは山林特有の行方不明事案などの断片的な情報が、インターネットの普及過程で混ざり合い、誇張されたものと考えられます。日の丸展望台そのものを現場とする特異な凶悪事件が公式に記録されているわけではありません。