高梨沙羅選手の外見の洗練を語るうえで、決定的な転換点となったのが2016年8月の資生堂とのスポンサー契約(日焼け止めブランド「アネッサ」等のサポート)です。この契約を機に、彼女は美のスペシャリストたちから本格的なスキンケアやメイクアップの個別指導を受けることとなりました。
当時、日本テレビ系のスポーツ特番や単独インタビューにおいて、彼女はメイクに対する想いを率直に語っています。
「自分にとってメイクは、競技に向かうための大切なスイッチ。身だしなみを整えることで気持ちが引き締まり、戦闘モードに入れるんです」
遠征先のホテルでも、毎朝鏡に向かってアイラインの角度を1ミリ単位で微調整し、海外の美容系YouTuberの動画をチェックしながら研究を重ねる姿が伝えられました。過酷な風雪に晒されるスキージャンプ台の上でも崩れないベースメイク、ゴーグルを外した瞬間に毅然とした表情を保てるアイメイク——それらは単なる「着飾り」ではなく、世界の頂点に立つアスリートが自らを鼓舞するための「現代の甲冑(鎧)」だったのです。