住居周辺で見かける多足類には、ムカデやヤスデに加えて「ゲジゲジ(ゲジ・オオゲジ)」が存在します。これら3種は外見の不気味さから一括りに忌避されがちですが、生態的地位と人へのリスクは大きく分かれます。ムカデとヤスデの足の数の違いに着目すると、ムカデは「唇脚類(しんきゃくるい)」に属し、1つの体節から左右に1対(2本)の脚が生えています。対してヤスデは「倍脚類(ばいきゃくるい)」と呼ばれ、前方の数節を除いて1つの体節から左右に2対(4本)の脚が生えているのが構造上の根本的差異です。
ここで、害虫駆除専門業者や生物分類データをもとに作成した、多足類3種の客観的比較データを提示します。
ゲジゲジとの違い詳細まとめにおいて特筆すべきは、脚の長さと運動能力の差です。ゲジゲジはムカデと同じ唇脚類に属する肉食性生物ですが、胴体に対して不釣り合いなほど長い歩脚を持ち、時速数キロメートルに達するスピードで壁面を滑走します。毒性も極めて弱く、人間に対して攻撃を仕掛けることはまずありません。むしろ住宅内のゴキブリやシロアリ、トコジラミを積極的に狩るため、生物学的には極めて有益な存在です。
ここで重要になるのが、益虫と不快害虫の違いという概念です。人間を直接攻撃しないゲジゲジや、落ち葉を分解して豊かな土壌を作るヤスデは、自然界の生態系サービスにおいては紛れもない「益虫」です。しかし、見た目の異様さ、集団発生時の心理的嫌悪感、あるいは分泌液による異臭が人間にストレスを与えるため、法制上・衛生管理上は「不快害虫」として扱われています。益虫としての側面を理解しつつも、住空間に入り込んだ際には冷静に住み分けを図る視点が求められます。