真新しいトレンドの一方で、数十年の歳月を重ねたクラシックな喫茶店も独自の輝きを放っている。重厚なベルベットのソファ、カチコチと時を刻む柱時計、そして壁に染み付いたタバコと珈琲の残り香。
マスターが布フィルター(ネル)を巧みに操り、一滴一滴じっくりと落とす珈琲は、濃密でベルベットのような舌触り。名物の自家製プリンは、しっかりとした固めの食感とほろ苦いカラメルソースが絶妙なバランスを保つ。チェーン店にはない人間味と、変わらないことの尊さがここにある。
「学生時代から通っている」と笑う常連の隣で、若い世代が文庫本を片手にサイフォンを眺めている。世代を超えた居場所として機能する老舗喫茶の存在は、街の厚みそのものだ。