リンクに一歩足を踏み入れると、ひんやりとした冷気とともに壁面に飾られた歴代メダリストたちの写真が目に飛び込んでくる。昭和、平成、そして令和。それぞれの時代を象徴する偉大なスケーターたちが、少年少女時代にこの場所で何千時間もの練習を重ねてきた。世界基準の滑走感覚を叩き込む「大須の氷」は、一見するとどこにでもあるリンクに思えるかもしれない。しかし、そこには目に見えない文化の蓄積がある。
トップ選手と習い始めの小さな子供が、同じ氷の上で時間を分かち合う。トップの滑りを間近で見た子供たちが、ごく自然にそのスピード感や美しさを体で覚えていく。この独特の密接な環境こそが、名古屋独自の強靭な育成エコシステムを作り上げた最大の要因と言えるだろう。