「清純派アイドル」のイメージを決定づけた彼女が、本格派女優として批評家たちを唸らせた決定打が、1990年公開の映画『つぐみ』(市川準監督・吉本ばなな原作)での主演でした。生まれつき体が弱く、奔放で毒舌ながらどこか儚い主人公・つぐみ役を熱演し、日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞など、主要映画賞の新人賞を総なめにしました。
本作において牧瀬里穂は、従来のCMで見せていた天真爛漫な少女像を打ち破り、ベッドシーンや水着シーンを含む繊細で大胆な感情表現に挑戦しています。単なる性的なサービスカットとしてではなく、思春期の揺れ動く生と死、性の芽生えをリアルに体現したこの名演技こそが、彼女に「本格的な大人の女優の色気」を定着させた原点と言えます。
その後のドラマ『二十歳の約束』(フジテレビ系)や映画『東京上空いらっしゃいませ』などでも、情熱的かつ複雑な大人の女性像を演じ分け、単なるアイドル女優から実力派表現者への転身を成功させました。