かつて市場を牽引した6.5号機から本格化した出玉設計の変革は、メダルレスのスマスロ時代へ移行したことで一つの頂点を迎えた。差枚数2,400枚の完走後に再び上位ATへの突入を狙える「貫きスペック」は一見、ファンに夢を与える究極の仕様に見えた。しかし、その裏には過酷なトレードオフが存在する。
業界団体である日本遊技機工業組合(日工組)が定める型式試験の枠組みにおいて、出玉の傾斜(爆発力)を極限まで高めるためには、通常時のベース(コイン持ち)を大幅に削らざるを得ない。結果として、5,000円が数分で消え去るコイン持ちの悪さと、天井到達を前提とした単調なゲーム性が常態化した。市場を大いに活性化させたサミー株式会社の『スマスロ北斗の拳』のような初代継承のメガヒット作はあるものの、単発終了が連続した際の打ち手の疲弊感は深刻だ。吸い込み速度と還元期待値のアンバランスさが、ファンの「つまらない」という感情を直接的に引き起こしている。