六角精児の名を日本全国に知らしめた最大の功績は、テレビ朝日系看板ドラマ『相棒』における警視庁鑑識課員・米沢守役です。2000年のプレシーズンから出演し、杉下右京(水谷豊)の良き理解者として抜群のコンビネーションを披露。2009年には主演スピンオフ映画『相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿』が全国公開されるなど、シリーズ屈指の人気キャラクターとなりました。
しかし、2016年3月放送の『相棒 season14』最終回をもって、米沢守は警察学校の教官へ異動という形でレギュラーを電撃降板します。当時、ネット上では「共演者との不仲説」や「体調不良説」など様々な憶測が飛び交いました。
だが、降板の真実は極めてストイックな役者心理に基づくものでした。六角精児本人が後の対談や自著で明かしたところによると、「16年間同じ役を演じ続ける中で、役者としての自分が甘え、停滞してしまうのではないかという強い恐怖があった」ことが最大の理由です。50代半ばを迎え、「このまま米沢守のイメージだけで一生を終えていいのか」「もう一度原点である舞台や、違う役柄に挑戦したい」という切実な役者魂が、安定した人気レギュラーからの勇気ある降板を決断させました。
水谷豊をはじめとする制作陣もそのプロ意識を尊重し、円満な形で送り出しました。その証拠に、降板後も『相棒 season16』や『season20』『season21』の節目において特別ゲストとしてサプライズ復帰を果たしています。登場するたびにSNSでは「米沢さんおかえり!」「右京さんとの並びはやはり最高」とトレンド入りを果たすなど、ファンにとって米沢守は今なお特別な存在であり続けています。