「手相と脳なんて関係あるわけがない」と切って捨てるのは早計かもしれない。発生学の観点から見れば、人間の皮膚と神経系(脳を含む)は、受精卵が細胞分裂を繰り返す初期段階において、どちらも「外胚葉(がいはいよう)」という同じ細胞層から形成される。
妊娠第4週から12週頃にかけて、胎児の手のひらのシワ(手紋)が形作られるのと同時期に、脳の神経ネットワークも急速に構築されていく。遺伝子変異や子宮内環境のわずかな変化が、脳の配線パターンと手のひらのシワの形成の両方に影響を与える可能性は、皮膚線条学(Dermatoglyphics)の分野でも長年研究されているテーマだ。手相が脳の設計図の“微小なサイン”であるという説は、科学的ロマンを孕んでいる。