現在、市場に出回る木造まな板の中でも特に価値が高いとされるのが、樹齢数百年を超える大木から切り出された「本榧まな板」である。榧の木は成長が極めて遅く、まな板として使える厚みや幅に達するまでに気の遠くなるような時間を要する。そのため、原木の段階で極めて希少であり、投機的な価値すら帯びるほどだ。
こうした貴重な森林資源を未来へ繋ぐため、林野庁を中心に国産材の適正な維持管理と持続可能な利用に向けた施策が進められている。無計画な伐採を防ぎつつ、適正に管理された良質な木材だけを加工に回す仕組み作りが定着してきた。資源保護と工芸の存続という双方のバランスを取る試みが、今まさに実を結びつつある。