物語の象徴とも言えるのが、電車の車体を教室として使用していたトモエ学園だ。ここでトットちゃんを迎えた小林宗作校長の教育理念は、現代の教育関係者からも絶大な支持を集めている。
「君は、本当は、いい子なんだよ」。小林校長が幼いトットちゃんに語りかけ続けたこの言葉には、個性を押し潰さない究極の寛容さが込められていた。知られざる秘話として、当時の手帳や関係者の証言からは、障害を持つ子どもも持たない子どもも対等に育むための緻密な工夫が明かされている。食育の先駆けとも言える「海のものと山のもの」のお弁当のおかず指定など、ユニークでありながら本質を突いた試みは、令和の今こそ見つめ直されるべき教育の原点だ。