ネット上やSNSでは、時に「ペストは地球上から根絶された過去の病気」「現代でもかかったら助からない不治の病」といった極端な言説が見受けられます。しかし、これらはいずれも事実とは異なります。
誤解1:「ペストは天然痘のように世界中から根絶された」
天然痘とは異なり、ペスト菌は自然界の野生げっ歯類(プレーリードッグ、ジリス、マーモットなど)を宿主として現在も生態系の中に生き残っています。世界保健機関(WHO)の報告によると、マダガスカル、コンゴ民主共和国、ペルー、モンゴル、アメリカ合衆国南西部などでは現在も年間数百例規模の散発的な発生や小規模なアウトブレイクが記録されています。
誤解2:「感染したら現代医療でも手遅れになる」
ペスト菌はウイルスではなく細菌であるため、早期に適切な抗菌薬(抗生物質)を投与すれば治療可能です。ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン系(ドキシサイクリンなど)、クロラムフェニコールなどの有効性が確立しており、発症から24時間以内に治療を開始できれば、致死率は劇的に低下します。