多田修平の代名詞とも言えるのが、世界トップクラスの選手たちをも置き去りにするスタート加速だ。176cm・66kgというスペックは、この爆発的スタートを実現するうえで最も洗練された黄金比率を構成している。
身長176cmという絶妙な体格は、重心位置のコントロールにおいて極めて有利に働く。高身長選手に比べて重心の上下動が小さく、接地した瞬間のパワーロスを最小限に抑え込めるからだ。足関節の硬度(ステフネス)が高く、地面を強く叩くのではなく「ピンポイントで捉えて弾く」接地の質がずば抜けている。
ピッチ(脚の回転数)とストライド(歩幅)の高度な融合も特筆に値する。100メートル走の序盤において、彼の脚は目にも止まらぬ速さで回転する。無理にストライドを伸ばそうとせず、自身の骨格サイズに最適な脚の軌道を体得しているからこそ、あの衝撃的なスタートダッシュが成立する。