皮膚表面の傷口は小さく見えても、皮膚の下で空洞状に広がる「ポケット(潜行)」は、治癒を長期化させる代表的な難治性病態です。ポケット内部は死腔(デッドスペース)になりやすく、滲出液や膿が滞留して細菌感染の温床になります。
ポケット内部の治療では、薬剤を空洞の最深部まで確実に届ける処置が求められます。感染や滲出液が多い初期段階ではカデックス軟膏やユーパスタを滅菌ガーゼに塗布して細長くこより状にしたもの(ドレーンガーゼ)をポケット奥へ挿入し、排膿と浸出液の排出を促します。
炎症が鎮静化した後は、組織再生を早めるためにフィブラストスプレーをポケット内に噴霧したり、アクトシン軟膏を注入して内側からの肉芽癒着を促すアプローチが効果的です。ポケットが塞がる前に表面の上皮だけが閉じてしまう「袋とじ」を防ぐため、深部から徐々に浅くしていく緻密な処置管理が求められます。