発達相談の現場では、単一の行動だけで判断を下すことはありません。言語、こだわり行動、そして感覚処理の3つの側面を総合的に観察します。家庭内で確認できる代表的なチェック項目を整理しました。
発語とコミュニケーションの観察基準:
- 意味のある単語(「まんま」「ブーブー」「ワンワン」など)が3語以上出ない、あるいは以前出ていた言葉が消失した(折れ線現象)。
- 大人の言葉をそのままおうむ返しする(エコラリア)のみで、自発的な要求や応答の言葉が伴わない。
- 身振り(バイバイ、パチパチ、ちょうだい)を大人の真似をして使わない。
反復行動とこだわりのパターン:
- ミニカーを走らせて遊ぶのではなく、床に腹ばいになって車輪だけを延々と回転させ、凝視し続ける。
- ブロックや靴、ミニカーなどを寸分の狂いもなく等間隔で一直線に並べることに没頭し、列を乱されると激しいパニックを起こす。
- 日常のルーティン(散歩の道順、着替える順番、食器の配置)が崩れることに対する極端な拒否反応を示す。
- 室内で踵(かかと)を浮かせ、つま先歩きを頻繁に繰り返す。
感覚過敏・感覚鈍麻の現れ:
- 抱っこをしようとすると体を弓なりに反らせて拒絶する、あるいは肌と肌の密着を極端に嫌がる。
- 掃除機の音、ドライヤー、特定の電子音に対して耳を塞いで泣き叫ぶ。
- 洋服のタグ、特定の素材、濡れた衣類に対する過剰な不快感を示し、着脱を嫌がる。
- 頭を壁に打ち付ける、自分の手を噛むといった自傷的な刺激行動を繰り返す。
つま先歩きやミニカー並べは、定型発達児でも一時的な遊びとして通過することがあります。判断の分かれ目となるのは、「他の遊びに切り替えられる柔軟性があるか」、そして「他者からの呼びかけで中断できるか」という点です。呼びかけを完全に遮断し、何時間でもその行為に没入してしまう場合は、専門機関での丁寧な環境アセスメントが推奨されます。