作中における池元組の立ち位置を理解するうえで不可欠なのが、関東最大の広域暴力団「山王会」内部でのパワーバランスと、外部組織との複雑な利害関係です。池元組は山王会本家の直参(二次団体)という高いステータスを有していましたが、その実態は武闘派としての実力ではなく、本家幹部への立ち回りによって地位を保つ典型的な利権追求型組織でした。
池元組を軸とした組織相関図の中心には、以下の3つの歪んだ関係性が存在していました。
第一に、大友組との主従関係です。大友組(組長・大友/演:ビートたけし)は池元組の傘下(三次団体)に位置し、池元組長にとっては「泥をかぶらせるための都合のいい武力装置」でした。池元は大友に対して親分風を吹かせつつ、本会からの厄介な命令をすべて大友組に丸投げし、自らは安全圏で利益のみを吸い上げる搾取関係を構築していました。
第二に、村瀬組との私的な兄弟関係です。麻薬の密売や違法カジノで独自の資金源を持つ村瀬組(組長・村瀬/演:石橋蓮司)と池元は、かつて刑務所内で盃を交わした義兄弟の仲でした。しかし、山王会本家から「村瀬組を締め上げろ」と命じられた際、池元は兄弟の契りを守るどころか、大友組を嗾(けしか)けて村瀬組を攻撃させ、自らは仲裁役を装って村瀬のシマ(縄張り)を強奪するという二枚舌外交を展開します。
第三に、山王会本家(関内会長・加藤若頭)との従属関係です。山王会トップの関内会長(演:北村総一朗)は、直参同士を競わせ、互いに不信感を植え付けることで権力を掌握する老獪な支配者でした。池元組は関内の思惑通りに踊らされ、大友組を使って村瀬組を排除したものの、最後は自らも関内と加藤の謀略によって切り捨てられる運命を辿ります。