本作のドラマ性を極限まで高めた立役者が、成瀬の最大のライバルであり、由希に不器用な恋心を抱き続けた袴田静(はかまだ しずか)の存在です。女性が苦手で無口だった袴田が、由希のひたむきな姿に触れて初めて抱いた恋情は、多くの読者の胸を締め付けました。
物語後半、袴田は自らの気持ちに嘘をつくことなく由希に想いを告げ、成瀬ともコート内外で激しく火花を散らします。しかし、由希の心の中にいる成瀬の存在の大きさを痛感した彼は、自ら潔く身を引く決断を下しました。
失恋を経験した袴田は、その痛みをバスケットボールへの情熱へと昇華させ、プレイヤーとしてさらなる高みへと登り詰めます。最終回近辺では、成瀬と互いを認め合う最高のライバルとしてコートで対峙する姿が描かれ、単なる当て馬にとどまらない「一人の男としての堂々たる成長劇」として高い評価を獲得しました。