地政学的リスクの高まりや資材不足が常態化した現代において、契約の不履行を正当化するための不可抗力(Force Majeure)条項は企業の生命線だ。だが、ここでも因果関係の明示をめぐる攻防が繰り広げられている。
「不可抗力による遅延」を主張する際、発生した事象とその結果との間に一切の裁量や過失が挟まっていないことを証明しなければならない。相手方の法務担当者は、提出された通知文書の接続詞一つから企業の「初動の遅れ」や「予見可能性」を炙り出そうと目を光らせている。英語を母国語としない日本企業が作成した不用意な通知文が、自ら責任を認める自白調書のように扱われてしまう悲劇が後を絶たない。