司忍組長を直接知る幹部や、長年マークを続けてきた暴力団担当刑事(マル暴)の手記からは、単なる親しみやすさとは異なる、独特の「カリスマ性」が浮かび上がります。
服役を終えて2011年に品川駅に降り立った際、ボルサリーノのハットに身を包んだ佇まいは大手メディアや写真週刊誌で大きく報じられました。威嚇するような態度は一切見せず、無言で背筋を伸ばして歩くその姿は、ある種の美学として一般層にも強烈な印象を与えました。この「立ち居振る舞いの美意識」は、若い頃から一貫して培われたものです。
内部関係者の証言によれば、私的な席では聞き役に回ることが多く、幹部たちの話を遮らずに耳を傾ける配慮を見せると言います。しかし、ひとたび組織の掟や規律を破った者に対しては、一切の感情を挟むことなく破門・絶縁などの非情な決断を下します。「普段が穏やかであるからこそ、怒らせたときの底知れなさが際立つ」――これこそが、配下の組員たちを心服させ、同時に震え上がらせる恐怖政治とパターナリズムの絶妙なバランスです。