ネット上のQ&Aサイトや語学掲示板では、「Yから始まる英単語は極端に少ないから、しりとりでは反則に近い」「Yは英語においてほぼ母音扱いだから単語が成り立たない」といった言説がしばしば見受けられます。しかし、歴史言語学および辞書編纂の事実に基づけば、これは明白な誤解です。
英語における「Y」は、歴史的に「子音(半母音)」としての顔と「母音」としての顔を使い分けてきました。語頭に位置する場合、Yは「Yellow」「Year」のように硬口蓋接近音 [j] という子音として機能します。古英語の時代、この音の多く因はゲルマン祖語の「*j-」や古英語の接頭辞「ge-」に由来しており、中英語を経て整理された結果、日常的な動作や身近な概念を表す核となる語彙として生き残りました。
「単語数が少ない」と錯覚される本当の理由は、語頭に立つYの語彙(約600語〜1,000語)に対して、語尾に付くYの語彙(数万語)が圧倒的に多すぎるという比率の歪みにあります。形容詞を作る接尾辞「-y」(Rainy, Sunny, Luckyなど)や名詞を作る接尾辞「-ty」「-ry」(City, Historyなど)が英語には無数に存在するため、受ける回数に対して返すためのストックが相対的に少なく感じられるのです。構造的な偏りを理解していれば、「Yは決して少なくない、受ける回数が異常に多いだけだ」と冷静に対処できるようになります。