ハリー・ポッターが11歳の夏、ダイアゴン横丁にある紀元前382年創業の老舗「オリバンダーの杖店」で手に入れた杖には、極めて特殊な仕様が与えられていました。店主ギャリック・オリバンダーが「杖が魔法使いを選ぶ」と説いた通り、無数の杖を試した末にハリーの手の中で温かな光と風を放ったのは、以下の特徴を持つ一振りでした。
- 素材(木材):ヒイラギ(Holly / 西洋ヒイラギ)
- 長さ:11インチ(約28センチメートル)
- 柔軟性:しなやかで扱いやすい(Nice and supple)
- 芯材(コア):不死鳥の尾羽(Phoenix feather)
- 購入価格:7ガリオン
この組み合わせは、単なる偶然の産物ではありません。原作者J.K.ローリングが後に明かした公式の裏設定によると、ヨーロッパの伝承やケルトの樹木信仰において、ヒイラギは「邪悪を祓い、悪意や闇を退ける聖なる木」として崇められてきた歴史を持ちます。雷や悪霊から身を守る守護の力を持つヒイラギは、赤ん坊の頃に死の呪い(アバダ・ケダブラ)を退け「生き残った男の子」となったハリーの宿命をそのまま具現化した素材でした。
さらに注目すべきは、杖の心臓部である芯材です。この杖に宿る不死鳥の尾羽は、ホグワーツ魔法魔術学校の校長アルバス・ダンブルドアの忠実な相棒である「不死鳥フォークス」が提供したものです。不死鳥は誇り高く、気まぐれで、自らの羽を杖作りの職人に差し出すことは滅多にありません。フォークスが生涯にわたってオリバンダーに託した尾羽は、後にも先にも「たった2本」だけでした。そのうちの1本がハリーを選んだという事実は、彼が背負う数奇な運命を初めから告げていたのです。