名のある河の神が去り際に千尋へ残していった緑色の小さな団子、それが苦団子(にがだんご)です。一見すると地味な泥団子のようですが、作中で最も重要な役割を果たす魔法のアイテムでした。
苦団子の本来の効果は、「体内に巣食う穢れ、毒、悪しき呪いを強制的にすべて吐き出させる超強力な解毒・浄化作用」です。味は強烈に苦く、千尋自身も一口かじった瞬間に激しく顔を歪めています。
この苦団子は、千尋の私利私欲のためではなく、他者を救うために使われました。
- ハクの救済:銭婆から盗み出した魔女の契約印と、湯婆婆がハクを操るために腹の中に忍ばせていた「腹の虫(タタリ虫)」をすべて吐き出させ、致命傷から蘇生させた。
- カオナシの浄化:油屋の欲望や従業員たちを飲み込んで怪物化していたカオナシに食べさせ、体内の異物をすべて嘔吐させて元の穏やかな姿へと戻した。
河の神が千尋に苦団子を授けた理由は、彼女が無私の心で体を張って助けてくれたことに対する「神としての最高の恩返し」でした。千尋が手に入れた純粋な善意が、巡り巡って愛するハクや孤独なカオナシを救う力となったのです。