数ヶ月先までテーブルが埋まり、ネット上で「予約困難」ともてはやされる店舗の裏側には、外食ビジネスの構造的な仕組みが横たわっています。オンライン予約管理システムの普及により、席の開放と同時に争奪戦が起きる一方、その一部は「常連枠」や「特定グルメサロン枠」として事前に確保されており、一般枠が極めて狭き門になっているのが現実です。
取材に応じた都内フレンチの元支配人は、次のように明かしています。
「予約の取れなさが新たな希少性を生み、それがSNSで拡散されてさらにプレミア化する。しかし、過剰な期待を抱いて来店した新規のお客様の中には、『この価格でこの接客なのか』と肩を落として帰られる方も少なくありませんでした」
世界的な権威を持つミシュランガイド掲載店であっても、それは「料理の技術や素材のクオリティ」に対する評価であり、同伴者との親密な空気感やリラックスした会話環境までを保証するものではありません。星の数や予約の難易度という「他人の評価軸」に囚われすぎず、「自分たちがその夜、どういう感情で過ごしたいか」を第一に据えることが、真の名店に出会うための最短ルートです。