デジタル空間における食の解説記事やSNSの投稿には、歴史的事実とは異なるいくつかの誤った言説が流布しています。情報リテラシーの観点から、代表的な誤認を整理・是正します。
誤解①:「メキシコ料理だからタコスのようなスパイシーな味だった」
発祥地はメキシコのティファナですが、考案者のカルディーニはイタリア出身であり、ターゲットとした顧客層はアメリカの富裕層でした。そのため、チリペッパーやハラペーニョなどのメキシコ土着の香辛料は使われず、イタリア料理の手法(オリーブオイル、チーズ、レモン)を基盤に構築されています。
誤解②:「シーザードレッシングという既製品が最初から存在した」
誕生当初はドレッシングとして調合された液体が存在したわけではありません。ボウルにニンニクを擦り付け、ロメインレタスを入れ、オイル、1分間茹でた半熟卵(コドルドエッグ)、レモン汁、すりおろしたパルミジャーノを客の目の前で順次投入して「その場で乳化させる」ライブクッキングでした。市販ボトルのドレッシングが登場したのは、人気沸騰後の1948年にカルディーニが特許を取得し商品化して以降の話です。