マカオの裏社会で「崩牙駒(コマ欠けの駒)」の異名をとった伝説の14K幹部、尹國駒。刑期を終えて表舞台に戻った彼の動きは、現代の中華系組織犯罪の変容をそのまま象徴している。
かつてのような銃撃戦やカジノの利権争いではなく、彼は「文化交流組織」や「ブロックチェーン開発」といった表の看板を盾に、東南アジア諸国で莫大な投資プロジェクトを展開してきた。米財務省の制裁対象に指名されながらも、その影響力は陰るどころか、途上国の政治家やビジネスマンを巻き込む形で地下経済の制度化を推し進めている。
尹國駒が示した「合法と非合法の境界を曖昧にするビジネスモデル」は、次世代の若手幹部たちにとっての絶対的なバイブルとなった。カリスマ的指導者が君臨する時代から、離散した個々のネットワークが緩やかにつながる「ネットワーク型組織」へのシフト。これが現在の暗黒街の権力構造だ。