建築図面や施工現場で頻繁に登場する「鳩小屋」という名称は、そのコンパクトな箱型の佇まいが鳩の巣箱に似ていることに由来します。ビルの屋上(陸屋根)に設けられる鳩小屋は、空調配管、給排水管、電気・通信ケーブル、給排気ダクトなどを階下から屋上へと貫通させるための立ち上がり空間を指します。
一方で、戸建て住宅の勾配屋根に設けられる小さな突き出し窓も、意匠用語として「鳩小屋(ドーマー)」と呼ばれるケースがあります。同じ呼称でありながら両者の目的は大きく異なります。住宅のドーマーが採光や通風、外観意匠の向上を主目的としているのに対し、陸屋根に構築される設備用途の鳩小屋は、構造体の保護と完全な防水性能の確保を目的に設置される設備配管カバーです。
近年は現場打ちコンクリートによる施工だけでなく、既製品の金属製配管カバーを採用する現場も増えていますが、機能的な目的はいずれも「スラブ貫通部の完全保護」に集約されます。