『てっぱん』を語る上で避けて通れないのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災による影響です。地震発生直後からNHK総合は24時間の特別報道体制に移行し、ドラマの放送は約1週間にわたって全面的に休止されました。当時、第24週のクライマックスを迎えていた本作は、視聴者の間でも「この非常時に放送はどうなるのか」と大きな懸念が広がっていました。
放送が再開されたのは2011年3月19日のことです。予定されていた全151回を完結させるため、放送スケジュールは1週間後ろ倒しされ、最終回は当初予定の3月26日から2011年4月2日へと変更されました。当時のNHK視聴者コールセンターや公式掲示板には、「連日の震災報道で心が沈んでいた中、毎朝あかりの弾けるような笑顔と元気な声を聞いて救われた」「日常の尊さを再確認できた」という感謝のメッセージが殺到しました。
視聴率の推移を客観的に見ると、初回視聴率は関東地区で18.2%、舞台となった関西地区では20.7%と好発進を記録。期間平均視聴率は関東17.2%、関西16.2%と堅調に推移し、最高視聴率は関東で23.6%(2010年11月27日放送回)、関西で24.0%に達しました。前後の朝ドラ作品と比較しても安定した数字を残しており、視聴者満足度の高さが裏付けられています。
本作を語る上で欠かせないもう一つの要素が、世界的バイオリニスト・葉加瀬太郎さんが作曲・演奏を手がけた主題歌「ひまわり」です。朝ドラの主題歌といえば著名アーティストによる歌唱曲が定番ですが、インストゥルメンタル楽曲が採用されたのは極めて異例でした。オープニングで全国の視聴者から寄せられた動画に合わせて踊る「てっぱんダンス」とともに、爽やかで力強いメロディは朝の顔として定着しました。